ピラティスは世界的に有名なセレブや芸能人・モデルなどがプロポーション維持のために取り入れていることで話題となった、「体幹を鍛えるエクササイズ」のこと。
ピラティスの歴史は、第一次世界大戦中(1920年代)にドイツ人従軍看護師ジョセフ・ヒューベルトゥス・ピラティス(以降ジョー)が、負傷兵にリハビリとして提供したエクササイズからはじまり、このジョセフ・ピラティスのメソッドを「コントロロジー」と名付けたものが始まりです。
ジョセフはピラティスのことを、下記のように言っていました。
単なるエクササイズとは違う「全身の細かな筋肉と精神を自分自身でコントロールするための学問」
引用元:wikipedia「ピラティス・メソッド」
シンプルにピラティスは、「開発者の名前からとった体幹を鍛えるエクササイズ」のこととなるわけです。
現在では、ドイツ・イギリス・アメリカ・日本など様々な国に広まり続けています。ちなみに、テラピス・ティラピスなどと名前を勘違いして呼んでいる方もおられます。
Contents
ピラティスの効果は?
ピラティスの効果は、
- 「ダイエット」
- 「身体能力向上」
- 「肩こり改善」
- 「冷え性の改善」
- 「腰痛の改善」
- 「美肌効果」
- 「自律神経が整う」
等々
様々な効果がありますが、これらの効果はピラティスを行うことによって起きる、大きな身体の変化による小さな変化にすぎません。
ピラティスの一番の効果は2つあります。
- 姿勢が良くなること
- 胸式呼吸が身につくこと
ピラティスの基本姿勢は”脊柱の自然なS字カーブを意識すること”ですが、現代の日本人にとって簡単なことではありません。
パソコンやスマホの普及により、昔と比べてもストレートネックの割合や背骨や骨盤の歪みが増えてきていて、正しい姿勢に慣れていません。
そのため、身体にあった正しい姿勢(左右バランスの取れた姿勢)になるだけで驚くほど多くの変化が起きます。
次でそれぞれの効果についてみていきましょう。
姿勢が良くなることで起きる効果
ピラティスによって得られる脊柱の自然なS字カーブをキープする姿勢は、下記のような効果があります。
- 普段使わない筋肉を使うようになる
- 身体全体の血流が良くなる
- 骨が正常な位置に戻る
- インナーマッスルが鍛えられる
実は整体のカイロプラクティックに、背骨を正しい位置に戻すことで神経の働きを正常に戻し、身体がもつ自然治癒力を高めるという考え方がありますが、カイロプラクティックが施術により戻す方法となります。
しかしピラティスは、エクササイズにより正しい姿勢をとり続けることが必要ですが、その際に普段は使わない筋肉(インナーマッスル)を使うようになり、表層にある筋肉よりも深いところの血流がよくなります。
このインナーマッスルを鍛えられることで、身体を正しい姿勢の状態にしやすくなり、骨が正常な位置にいけば血流が阻害されることがなくなるので、「肩こり改善」「冷え性改善」などの効果がでてきます。
胸式呼吸が身につくことで起きる効果
呼吸法には、大きく分けて、腹式呼吸と胸式呼吸の2種類があり、呼吸法によって得られる効果が大きく変わります。
少し見てみましょう。
胸式呼吸 | 腹式呼吸 | |
使われるところ | ピラティス | ヨガ |
効果 |
|
|
胸式呼吸は、普段は使うことのない肋骨の周りのインナーマッスルを使うようになり、内蔵活動が活発化することで、代謝がアップし、結果的に脂肪燃焼が促進されることになります。
更に、徐々に肺活量が増えてくるため、一度に吸える酸素の量が増加し、カラダ全体に酸素が巡りやすくなるので、より一層代謝が上がり、太りにくい身体になるという効果もあります。
ピラティスとヨガの違い
ピラティスとヨガは、「心と体のバランスを整えやすいエクササイズ」であり、ダイエット目的などで始める人が多い点は同じですが、実際はまったく異なるものです。
- ヨガは、インドの思想体系に根ざした修行・治療法であり
- ピラティスは、戦時中の負傷兵のリハビリのために開発されたエクササイズ
そのため、エクササイズのアプローチが全く違います。
ピラティス | 身体が活発になる胸式呼吸を行い、身体の奥にあるインナーマッスルを鍛え機能改善につなげるエクササイズ。 |
ヨガ | ヨガには沢山の流派があり、大きく動くヨガもありますが、腹式呼吸を行いながらポーズをとっていきます。 身体を動かすだけではなく、呼吸や瞑想など心の安定を追及していきます。 |
最終的にどちらもダイエット効果を得られたり、姿勢がよくなりますが、ピラティスは身体に重点をおいたエクササイズ、ヨガはポーズを取りながら、呼吸や内側に意識を向けながら行うものです。
また、ヨガとピラティスのアプローチは違うものの、「身体と精神を整える」為に行う部分は同じです。
ピラティスは2種類ある
ストレッチやヨガで利用するようなマットを利用する「マットピラティス」と、マシンを利用して行う「マシンピラティス」があります。
マットピラティスとは
マットピラティスは、主にスタジオなどのグループで行われるレッスンで用いられている、マットを利用したピラティスで、日本ではマットピラティスの普及率が、マシンピラティスよりも高く、一般的にピラティスというと、マットピラティスをイメージする方が多いと思います。
スポーツジムやフィットネスクラブのスタジオでも行われており、専用の道具をあまり使わないことから、エクササイズを目的とする方が誰でも気軽に参加できることもあり、人気のあるプログラムとなっています。
プログラムの内容は指導者により異なりますが、一般的には体幹を重心として身体全身を満遍なく鍛えられるようなプログラムになっていることが多いです。
マシンピラティスとは
ピラティス専用のマシンを利用して行うエクササイズのことです。
基本的には専用の器具を使うため、マンツーマンやペアで行うことが多いです。
マシンピラティスで利用される専用マシンは、
- ピラティスリフォーマー
- トラピーズテーブル(キャディラック)
- チェアー
- バレル(スパインコレクター)
- ラダーバレル
等があります。
マットピラティスと比べて、負荷を強くしたり、弱くしたりすることが出来るため、エクササイズのバリエーションを増やせるだけではなく、リハビリなどにも利用されています。
ピラティスの代表的なエクササイズ「ハンドレッド」の紹介
ハンドレッドは、体幹部分を鍛える効果が高く、ポッコリお腹の解消につながるエクササイズで、腕をポンプのように動かすので、血液の循環がよくなります
ハンドレッドの具体的な動き
- マットに横になった状態で息を吸って準備を整える。
- 息を吐きながら腹筋群を起動し、脚をテーブルトップポジション(膝を90度に曲げます)にする。
腕は身体側に向け、手のひらはマットにつけましょう。 - 息を吸いながら指先を天上に向かって持ち上げ、肩甲帯は安定した状態にしましょう。
- 息を吐きながら頭と肩を床からカールし持ち上げ(肩甲骨の下角よりは高くならない)、下腹部は緊張させないように意識し、脚を天井斜め上に向かって足先まで伸ばします。
- 息を吸いながら肘を真っすぐにした状態で腕をバウンドさせながら、5カウント維持しましょう。
- 息を吐きながら同じように腕をバウンドさせながら、5カウント維持しましょう。
ちなみに、ハンドレッドという名前の由来は、息を吸い5カウント+息を吐き5カウント×10セットで100回行うところからきています。
ハンドレッドの動きイメージ
脚を天井斜め上に向かって足先まで伸ばしていますが、初心者の方は脚を下記のようなテーブルトップ(90℃に曲げる)のままで行うと、やり易いです。
ハンドレッドの注意点
- 背中を床から高く持ち上げすぎる。
- 肩が丸まっている。
- 腰が安定していなくて、背中がアーチ状になっている。(背中が丸まっている)
- お腹をしっかり使えていない。(腹筋群を使えていないので、お腹がポッコリ出たまま行っている)
他のピラティスのエクササイズ
ハンドレッドは代表的なピラティスの動きですが、他にも様々なエクササイズがあります。
クリスクロス
サイドベンド
ピラティスを行っている方に聞いた生の声
ピラティスを行っている方々は様々な目的をもってピラティスを行っています。
ただ、いずれの目的にしても体に現れる良い変化はたくさんあるので、是非ご覧ください。
ダイエット目的でピラティスをしている方の声
ピラティスを始めて、体重はそんなに落ちていないのですが、
姿勢が良くなったせいか、よく「痩せた?」と聞かれるようになりました。
体重よりもラインが綺麗になったのが嬉しいと感じています。
ピラティスをやって何キロも痩せるというよりは、意識が変わり引き締まることがとても大きな効果だと思います。
姿勢改善目的でピラティスをしている方の声
大袈裟だと思うかもしれませんが、一度受けただけでずっと悩んでいた腰痛がなくなってビックリしました。ただ、少しレッスンをサボると、肩こり腰痛が出てくるので、継続することによって効果があるんだと改めて思います。
また、あれだけ通っていた整骨院に一切行かなくなりました。
姿勢がよくなることで、立ち姿だけではなく、腰痛などにも効果があると感じています。
ピラティスでスポーツへの良い影響が出た方の声
スノーボードが趣味で、毎年スノボに行くのですが、ピラティスを始めてから、スノーボードで転ばなくなり、足の疲れや腰の疲れがなくなりました。
最初はあまり気づかなかったのですが、ピラティスのおかげだと感じています。
ゴルフの余計な力みが抜けました。また、上半身の安定を感じる事が出来るようになったので、かなりゴルフへの効果を感じています。
今は、ゴルフのスコアの為に、ピラティスをしています。
ピラティスを行ってから体に様々な変化を感じた方の声
ピラティスを始めてまず変わったのが足の爪の長さです。足の指先まできちんと使えるようになった結果、爪への血流が良くなりました。
冬になると感じていたつま先が冷える感覚も改善されました。
また、足裏のアーチが整い長時間立っていても以前より疲れなくなりました。
ピラティスでスイミングというエクササイズがあります。うつ伏せになり、手脚を引き上げパタパタと動かすというものです。
体幹を安定させて姿勢保持筋をバランスよく使います。
しっかりと足指や足裏を使い正しいアライメントで立ち、姿勢が整うことで『歩く』という日常生活の動きがずいぶん楽になりました。
ピラティスのエクササイズを続けて一番感じることは、立つ・歩く等の日常生活の動作を正しく行うことができるということです。
毎日の生活のなかで身体を効率よく使えると、自然に身体全体が引き締まりました。
身体のバランスが整ったことで、学生の頃から続けているテニスを今後も楽しく続けられそうです。
ピラティスとヨガはどっちがいいのか?
ピラティスとヨガに優劣はありません。
- 身体を動かしてインナーマッスルを鍛えるピラティス
- 瞑想と静止ポーズでのストレッチを通して心を見つめるヨガ
どちらも結果的にダイエット効果や肩こりの改善など、様々な効果が期待できます。
運動によるリフレッシュ感を味わいたい方はピラティス、瞑想によるリラックス感が欲しい方はヨガといった形で選んでみてはいかがでしょうか。