アーユルヴェーダに興味を持つ女性におくる、女性の為のアーユルヴェーダの取り入れ方をご紹介します。女性特有の症状や不調を、アーユルヴェーダを使って上手に解消していきましょう!
Contents
女性特有の症状とアーユルヴェーダ
女性特有の症状である「生理・妊娠・出産に関連した症状」はアーユルヴェーダの考え方である「ドーシャ」の中でも、「ヴァータ」というエネルギーに深く関係しています。そして、女性特有の症状をコントロールしているのが、女性ホルモンです。
例えば、女性の生理は自然に組み込まれた重要な浄化のプロセスです。この浄化をスムーズに行うことで、月経期の女性ホルモンを整えることができます。
この時期にストレスや不規則な生活でヴァータの流れをアパーナヴァータ(下向き)にしてしまうと、ヴァータが乱れやすくなり、結果として痛みや不調が起きやすくなるのです。
女性ホルモンとヴァータのバランスが乱れると、生理不順や痛みがサインとして現れます。
ヴァータを整えて、女性ホルモンと上手に付き合いましょう!
アーユルヴェーダの基本の知識
女性特有の症状と上手に付き合うためには、アーユルヴェーダの考え方であるドーシャについても触れておきましょう。
まずアーユルヴェーダとは世界最古の伝統医学と言われています。
そして、病気になりにくい心と身体を作り、健康を維持する「予防医学」という考え方をしているのが、アーユルヴェーダです。
このアーユルヴェーダでは、私たちの身体は3つのエネルギーから作られていると言われています。
その3つのエネルギーとは「ヴァータ」「カファ」「ピッタ」です。
「ヴァータ」は風のエネルギーを持っていて、活発的ですが、心と身体が乱れやすくなるという特徴があります。
「カファ」は水のエネルギーを持っています。安定性が高く、心と身体が輝きやすいのが特徴
「ピッタ」は火のエネルギー。情熱的でせわしないという特徴があります。
この3つのドーシャはその人の体質によって異なります。
そして時間帯や時期によっても、どのドーシャが優位になるのかが異なってきます。
ドーシャについて詳しく知りたい方は「アーユルヴェーダで健康ライフ! ~体質診断で自分をみてみよう~」をチェックしてみて下さいね。
まずは女性ホルモンについて知ろう
アーユルヴェーダの基本を知ったところで、今回の重要な要素である「女性ホルモン」について。
さて突然ですが、あなたは女性ホルモンについて、どれくらいご存知でしょうか?
女性の身体の中でもとても重要な働きをしているのが女性ホルモンです。
女性の体の変化の元である女性ホルモンについて、知っておくことは大切です。
あなたの体内で女性ホルモンがどんな働きをしてくれているのか、一部になりますがご紹介していきます。
月経は女性ホルモンのバロメーター
まずは月経です。この月経期間は、気分が憂鬱になったり、体に不調が出る方も多く、「嫌だなぁ」という印象をお持ちの方も多いですが、毎月しっかり月経が来るということは、女性ホルモンが正常に分泌されているというサインになります。
簡単に月経のプロセスを見てみると、排卵後の卵子が子宮内膜に着床せずに、内膜が剥がれ落ちることで、月経が起こります。
そのため排卵後、精子と卵子が受精し、子宮に着床し妊娠となると、月経は起こりません。
もう少し詳しく、プロセスを見ていきましょう。
まずは女性は排卵させるために、脳から「女性ホルモンを分泌させよ」と指令を出すのです。指令が卵巣に届くと、卵巣からエストロゲンが分泌され、分泌量がピークを迎えると排卵が起きます。
続いて卵巣からプロゲステロンの分泌が増加します。
この排卵前後に、精子が子宮内に入ってくると、精子と卵子が出会い受精卵となります。
この受精卵が子宮内膜に着床すると、妊娠成立となりますが、妊娠していない場合は妊娠を継続させるためのホルモンである、プロゲステロンは分泌されなくなります。
そして内膜がはがれ落ちて月経が起こります。
この段階にたどり着いて初めて女性ホルモンが正常に分泌されていることがわかります。
エストロゲン:子宮内膜を厚くする作用がある
プロゲステロン:妊娠を継続させるため、子宮内膜の血流を良くしたり、体温を上げたりする
少し複雑ですよね。
月経までの流れを簡潔にまとめると以下の通りになります。
- STEP1 エストロゲン(女性ホルモン)を分泌させて排卵を促す
- STEP2 プロゲステロン(女性ホルモン)の分泌が増加する
- STEP3 精子と卵子が出会い、受精卵になる
- STEP4 子宮内膜に着床しないと、プロゲステロンの分泌がストップ
- STEP5 内膜がはがれ落ちる=月経
ストレスは女性ホルモンに大敵!
月経に必要なエストロゲンとプロゲステロンの分泌は脳からの指令によって行われ、分泌量のコントロールもしています。
脳は同時に自律神経も支配していて、身体的・精神的なストレスを感じると、負担を減らそうと交感神経と副交感神経のバランスを取り、自律神経を整えようとします。
しかしストレスが強いと脳は混乱を起こし、女性ホルモンを分泌させるための指令が上手く出せません。その結果、分泌のタイミングや量に影響を与えて、月経周期が乱れてしまうのです。
ストレスは女性ホルモンの大敵です。
身体的、精神的にもストレスを抱えすぎないように心がけましょう。
加齢と女性ホルモンの関係
年を重ねるごとに、エストロゲンの分泌量が減っていき、更年期と言われる45~55歳になると、減り幅がグンと大きくなると言われています。
そして閉経を迎えるのは、エストロゲンの分泌がストップするタイミング。
エストロゲンの分泌量が減ると、脳は分泌量を増やすように指令を出します。
しかし、指令を受けても卵巣はそれ以上分泌することができず、脳は混乱し始めるのです。脳には自律神経を制御する役割もあるので、こちらにも影響が出てきてしまいます。影響を受けると、イライラや不眠、多汗やのぼせ、手足の冷え、立ち眩みや頭痛などさまざまな自律神経系の症状が表れ始めます。
加齢によるエストロゲンの分泌量の減少は自律神経を乱し、更年期障害と言われる症状を引き起こす原因になっているのです。
- 骨密度が下がるのを防ぐ
- 血中のコレステロール値を下げる
- 閉経した後も5年ほど分泌し続ける
※閉経が早いとその後、骨がもろくなったり、コレステロール値が上がる可能性もあるので、閉経後も少しの間は分泌を続ける。
月の流れにそったアーユルヴェーダ的過ごし方
アーユルヴェーダでは、女性ホルモンの流れを、月の流れ沿ってステージに分けて、見ていくこともできます。女性特有の症状への対処法を見てきましょう。
- 月経期:ヴァータ
- 卵胞期:カファ
- 黄体期:ピッタ
月経期:ヴァータ
月経期(月経期間中)であるヴァータは心と身体が乱れやすい時期です。
ストレスや不規則な生活はヴァータを乱しやすく、その結果として痛みや不調が起きやすくなります。
痛みを止めるための薬を飲む前に、なぜその痛みがあるのかを根本的に考え、優しく調子を整えてあげましょう。
ドーシャ(体質)別にこの時期に起きる症状と対処の心得を紹介していきますね。
ドーシャ | 症状 | 対処の心得 |
ヴァータ | 生理不順、生理痛、腰痛、黒い出血、甘いものが食べたくなる |
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カファ | 生理の遅れ、粘り気のある出血、食欲低下、眠気 |
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ピッタ | 出血量が多い、真っ赤な出血、暴飲暴食 |
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卵胞期:カファ
卵胞期(排卵前の約2週間)のカファは心も体も絶好調な時期です。
女性らしくキラキラ輝ける美人ホルモンのエストロゲンの分泌が増え、肌や髪にツヤも出て心も安定します。
この時期は何をしても無敵なので、適度に身体を動かすのがおすすめです。
活発的な卵胞期を過ごすことで、次の月経期に良い影響を与えてくれるでしょう。
更に自分磨きをするために、この時期に断食するのもおすすめ。
一方でアーユルヴェーダではこの卵胞期以外の時期に断食するのはおすすめしていません。規則正しい生活をすることがヴァータを乱さないと考えているからです。
ヴァータ体質は半日断食、カファとピッタは3日程度の断食をすると効果を高めることができますよ。
断食をするタイミングがない方も、卵胞期に美肌を生み出すおすすめの食材を摂取することがオススメ!
ドーシャ別におすすめの食材と避けたほうが良い食材を紹介するので参考にしてみて下さいね。
ドーシャ | おすすめの食材 | 避けたほうが良い食材 |
ヴァータ | 甘い果物、アボカド、調理された野菜、ビーツ、ニンジン、※、ムングダル、ナッツ類、油 | ドライフルーツ、未熟の果物、乾燥した豆、生野菜、葉物野菜 |
カファ | リンゴ、ザクロ、ドライイチジク、レーズン、苦く渋い野菜、葉物野菜、玉ねぎ、ビーツ | 甘く酸っぱい果物、油の多いもの、アボカド、グレープフルーツ、レモン、甘く水分のある野菜、きゅうり |
ピッタ | 甘い果物、リンゴ、ザクロ、イチジク、甘いパイナップル、きゅうり、キャベツ、レタス、カリフラワー、じゃがいも、洋ナシ、ココナッツオイル、オリーブオイル | 酸っぱい果物、レモン、グレープフルーツ、渋い野菜、刺激のある野菜(ニンニク、ショウガ、ネギ類)、トマト |
黄体期:ピッタ
黄体期(排卵後の約2週間)であるピッタは女性ホルモンバランスの激動期。
女性ホルモンのプロゲステロンの分泌が増え、体温が上がり子どもを授かる準備を体が始めます。
受精をしなかった場合は次の月経期へとサイクルが移りますが、この時期はドーシャが乱れると「PMS(月経前症候群)」が表れます。
ドーシャ別に症状を紹介するので、刺激を与えすぎず、優しく不調を改善していきましょう。
ドーシャ | 症状 |
ヴァータ | 冷え、乾燥、便秘、頭痛、腰痛 |
カファ | だるさ、むくみ、胸のはり、体重増加 |
ピッタ | イライラ、下痢、発熱、にきび |
この時期は症状を抑えるためにオイルマッサージをしてあげるのもおすすめです。
ピッタの熱を奪わないようにマッサージをするには太白胡麻油がどのドーシャにも効くのでおすすめ。
強いほてりを感じる人はココナッツオイルやオリーブオイルで熱を取り除くのも良いでしょう。
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日常的にヨガとアーユルヴェーダを実践している姉崎志穂先生は、本場スリランカで毎年リトリートや勉強へ行き常に学びを得ています。
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