ヨガは奥が深い。
始めてみると、知られているリラックスやストレッチ効果だけじゃない、続ければ続けるほど体は変わっていく。
体が楽になる、引き締まる。
そう、ポーズができるようになって来ればもっと挑戦したい!
女性にとっては運動量を増やして、ヨガでダイエットも欲張りたいところ。
そんな人が運動量の多いヨガを探していて見つかる悩み、
ヴィンヤサヨガとアシュタンガヨガの違いについて解き明かします。
Contents
そもそもヨガとは
ヨガはサンスクリット語の「ユジュ」(牛や馬と車をつなぐ軛)が語源で、体、心、魂を神(あるいは宇宙)に結びつけることの修行法として、紀元前4000年~2000年頃生まれました。
200年頃に最も古いヨガの経典である「ヨガ・スートラ」が編纂され、詳しいヨガの実践方法が記されたと言われています。
「ヨガ・スートラ」によると、ヨガは「心の動きを抑止すること」とされ、心の動きをコントロールするさまざまな鍛練により、訪れてくる苦しみから解放されることを目的としています。
1000年頃、呼吸法(プラーナヤーマ)やポーズ(アーサナ)となどの、肉体を浄化し強化する鍛練によって、自己を超えたゆるぎない境地を目指す「ハタ・ヨガ(=力強いヨガの意)」が生まれました。
現在世界中に普及しているヨガのポーズは、この伝統的なハタ・ヨガと言われています。いまではそのハタ・ヨガの教本を基礎として、様々な流派が生まれ現代のヨガへとつながっています。
心と身体をリラックスさせ、健康的で幸せな生活を送るための健康法として、時代とともに新しいヨガが生まれています。
間違いやすいアシュタンガヨガとヴィンヤサヨガ
ヨガに通い始めて上達してきたころ、スタジオレッスンスケジュール表から、運動量の多いレッスンを探していて、そこでよくみなさん疑問に思うのが「アシュタンガヨガ」と「ヴィンヤサヨガ」の違いです。
レッスン説明を見ていると、似ているようにおもいますが、全く違うものなのです。
アシュタンガヨガとヴィンヤサヨガの違い
アシュタンガヨガ | ヴィンヤサヨガ | ||
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サンスクリット語の意味 | 「アシュト」が「8」 「アンガ」が「枝」 =「八支則」というヨガの基礎 |
「ヴィ」が「特別な方法」 「ンヤサ」が「場所へ」 ※サンスクリット語に登録はない |
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ヨガの種類 | 伝統的な流派 | ・アシュタンガヨガをもとに派生されたスタイル ・アメリカ生まれの革新的なヨガスタイル |
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始まり | 1948年ごろ | 2000年ごろ ※明確にされておらず、創始者不明 |
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似ている点 | 呼吸と動きを連動させて流れるように体を動かす | ||
ポーズ | 八支則で順番が決まっている (ハーフ/フルプライマリー) |
太陽礼拝を基に、様々なアーサナで構成されたシークエンス、流れ | |
時間 | 朝に行うことが基本 | いつでも可能 | |
呼吸法 | ウジャイ呼吸 | ||
効果 | ・心と体の浄化 ・脂肪燃焼 ・集中力アップ ・血行が良くなる ・発汗による老廃物デトックス |
・脂肪燃焼 ・集中力アップ ・血行が良くなる ・発汗による老廃物デトックス |
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レッスン種類 | ・レッドクラス(集団で合わせて練習) ・マイソール(個人練習) |
集団で一緒にポーズを進める | |
向いている人 | ・基本から学びたい人 ・基本に忠実にレベルアップしたい人 |
・ヨガ経験者である程度動ける人 ・ヨガを楽しみたい人 |
「アシュタンガヨガ」と「ヴィンヤサヨガ」の違いは伝統とポーズ
「アシュタンガヨガ」と「ヴィンヤサヨガ」との大きな違いは、下記の2つです。
- 伝統(流派)
- ポーズ
この2つの違いから見ていきましょう。
知っておきたい伝統(流派)の違い
ヨガには「流派」というものがあります。
ヨガはハタ・ヨガを基礎のポーズとして、現代まで様々なタイプのヨガが生まれてきたのです。
ハタ・ヨガが生まれたころから考えれば、人の生活や物、あらゆる変化があり、健康法のヨガが時代に適した方法で伝えられるものとして、アレンジが加わってもおかしくないでしょう。
アシュタンガヨガは伝統的流派の1つ
アシュタンガヨガは、1948年ごろ、インド・マイソール地方でシュリ・K・パタビジョイス氏が広めたヨガ流派です。
ヨガの経典「ヨーガ・スートラ」には、物事の考え方や呼吸法などが「八支則(はっしそく)」としてまとめられ、ヨガの基本にもなっていますが、アシュタンガヨガはこの八支則を基につくられました。
サンスクリット語で「八支則(はっしそく)」という「アシュタンガ」という名前をつけられたのです。
改革的な「ヴィンヤサヨガ」はアシュタンガから派生されたスタイル
ヴィンヤサヨガは、アシュタンガヨガから派生され、アメリカで生まれました。
創始者は明らかになっていません。20世紀になってから誕生した比較的新しい流派です。
ヨガとは型にはまったものではなく、個人に合わせて柔軟であるべきと考えられてできたヨガのスタイルと言われています。
明らかに違うポーズの違い
アシュタンガヨガとヴィンヤサヨガの違いは、取り入れられているポーズを知ると明らかでしょう。
アシュタンガヨガのポーズ
アシュタガヨガは八支則を基に連続して、細かく順番の決められたポーズをとっていきます。
呼吸と動きを連動させることで感覚を制御し、集中力を高め、深い瞑想を行い、悟りの境地に達するのがアシュタンガヨガの最終目標となります。
八支則を紹介(ヨガの考え方・基礎)
1. ヤマ(禁戒) | ヤマとは、日常生活でしてはいけないことをまとめた5つの心得のこと。思考や言動について、非暴力や不盗、禁欲などに基づき決められています。 | |
・アヒンサー(非暴力、非殺生) | 苦痛を引き起こさないことを語源とし、誰に対しても怒りを抱かないことや、行動や言葉などで他者に暴力をふるわないこと。 | |
・サティヤ(嘘をつかないこと) | 自分を守るための嘘はつかない。そのために、日頃から言動や思考を一致させておくこと。 | |
・アスティヤ(不盗) | 他人の物や時間、信頼などを奪ってはいけない。執着心を手放し、自己中心的な行動はやめること。 | |
・ブラフマチャリヤ(禁欲) | 利己的な欲を満たすことを避け、生命エネルギーを必要なところに集中させること。 | |
・アパリグラハ(不貪) | 物事へ執着せず、欲望を捨てること。 | |
2. ニヤマ(勧戒) | ニヤマとは、日常生活でするべき5つのこと。心を整える、敬意を払うなど、人として心得ておきたいことが含まれます。 | |
・シャウチャ(清浄) | 心身を清らかな状態に保つこと。ネガティブな思考を避けること。 | |
・サントーシャ(満足、知足) | 今ある環境や能力、健康などに満足すること。当たり前にあるものに、ありがたさを忘れないこと。 | |
・タパス(苦行、自制) | 苦しい状況も成長の糧にして受け入れ、取り組むこと。 | |
・スヴァディアーヤ(読誦、学習、向上心) | 心を良い方向へ導いてくれる本を読むこと。 | |
・イーシュヴァラ・プラニダーナ(信仰) | 感謝や尊敬の気持ちを忘れず、自然や時代の変化などに身を任せること。 | |
3. アーサナ(座法) | アーサナは、瞑想をするための道具や姿勢の「アース」を語源とし、瞑想を深めるための座法のこと。長時間の瞑想に耐えられるようにさまざまなポーズを実践して、体を鍛錬します。他者と比べることなく、自分の心身に集中することで、身体能力の向上や心を整えます。 | |
4. プラナヤマ(呼吸法・調気法) | プラナヤマは、瞑想を深めるために呼吸を整えること。落ち着いて呼吸を行うことで心身をリラックスさせ、脳に酸素を送ることも目的としています。 | |
5. プラティヤハーラ(感覚の制御) | プラティヤハーラは、自分の外側に向いている五感を内側に向けて、内的感覚を高めて瞑想の境地に達すること。冷静に自分を客観視することで、日々の出来事にもぶれない精神が作られます。 | |
6. ダーラナ(集中) | ダーラナは、集中力を高めて、長時間とどめておくこと。心の集中が高まるほど、そこに向かうパワーも大きくなります。 | |
7. ディアナ(瞑想) | ディアナは、サンスクリット語で瞑想を意味し、雑念から開放され、感覚の制御と集中が意識せずに集まる状態のこと。 | |
8. サマーディ(悟り) | ヨガの最終目標であるサマーディは、煩悩からの解放や悟りのこと。長時間の瞑想ができるようになると、サマーディの状態になります。 |
ヴィンヤサヨガのポーズ
ヴィンヤサヨガには必ず、「目標とする完成ポーズ」があります。
完成ポーズが正確にできるように導いていくために太陽礼拝をもとにして、自由にポーズを組んでいく「シークエンス=順序」です。
また、ポーズからポーズへの移る手順も細かくつなげて行うという特徴もあります。
アシュタンガヨガとヴィンヤサヨガの違いが分かりにくい理由
アシュタンガヨガとヴィンヤサヨガには、それぞれルールがあります。
それも知れば大きな違いが、新たに見えてくるでしょう。
アシュタンガヨガのルール
アシュタンガの主なルールは9つあります。
- 1つの動作ごとに、呼吸をする
- 途切れないように流れに沿ってポーズをする
- ウジャイ呼吸をする
- バンダを意識する
- ポーズの順番が決まっている(全6シリーズ)
- 集中力を高めるために、視点を固定する
- マイソールクラス(自己練習)とレッドクラス(集団練習)がある
- 日昇に合わせて、早朝(6時〜9時頃)が推奨されている
- 満月、新月は練習を行わない
ヴィンヤサヨガのルール
ヴィンヤサの主なルールは、主に4つあります。
- 1つの動作ごとに、呼吸をする
- 途切れないように流れに沿ってポーズをする
- ウジャイ呼吸をする
- バンダを意識する
アシュタンガヨガはヴィンヤサヨガに比べると、ルールが多い事が分かります。
本来のヨガの教えからなっているので、心と体を浄化づるための法則が守られています。
ヨガの呼吸法やポーズの流れが似ているから違いが分かりにくい
伝統やポーズ、ルールがアシュタンガヨガとヴィンヤサヨガの違いであることはわかりましたね。
でも、はたからみれば「1つの動作ごとに、呼吸をする」「途切れないように流れに沿ってポーズをする」
という、ヨガレッスンを受ける側からすると、動作のポイントとなる2点が同じである特徴こそ、違いが分かりづらいと感じるのでしょう。
アシュタンガヨガとヴィンヤサヨガの利点・効果
動きのルールが似ている分、効果も結果的に似てきます。
ただし、そもそものそれぞれの目的が違うため、「心」の面では全く違ってくるでしょう。
アシュタンガの利点・効果
- ヨガの基礎、哲学を学ぶことができる
- ポーズをとる順番や視点の位置も決められているため、集中力が高まる
- 集中力が高まることで、心を落ち着かせたりストレスを軽減できる
- 心と体の浄化
ヴィンヤサヨガの利点・効果
- 音楽にあわせて、楽しくヨガを取り入れることができる
- さまざまなポーズを流れで続けていくため、インナーマッスル強化となる
- 手を大きく回したり脚を開いたり、アーサナからアーサナへの移り変わりをスムーズにするため、柔軟性アップ
アシュタンガヨガ・ヴィンヤサヨガのダイエット効果
ダイエットの基本は、有酸素運動でしっかり脂肪をもやし、筋力をつけて自分で燃やせる体になることが大事です。
「1つの動作ごとに、呼吸をする」と「途切れないように流れに沿ってポーズをする」という似ているポイントが有酸素運動である限り、ダイエットをかなえるのはどちらかという決定的答えは、ありません。
ただし、ヴィンヤサヨガは、インストラクターがポーズを決定できる分、レッスンによって運動量と筋力トレーニングの強度の差は出やすいでしょう。
アシュタンガヨガとヴィンヤサヨガの主なダイエット効果
- 血行を促進によるむくみ改善
- 脂肪燃焼
- 筋力アップ
- 代謝アップ
どっちをするかは目的で選ぼう
伝統やポーズ、ルールがアシュタンガヨガとヴィンヤサヨガの違い。
そうなると、どちらをするかは、「ヨガに何を求めているか」ということが決め手であるといえます。
アシュタンガヨガはヨガの伝統や哲学を深めたい人におすすめ
アシュタンガヨガは、ヨガの根本である「ヨガ・スートラ」をもとに作られているため、ヨガが生まれたそのままの「目的」や「考え方」が活かされています。
たとえヨガに詳しくなくても、レッスンでアシュタンガに沿ってポーズをすることで、体から心へ感じることや学ぶこともおおいでしょう。
そして、ヨガを学ぶ方々の中で、刺激される機会も大いにある環境でしょう。
アシュタンガヨガは、朝に行われることが多いですが、現在は楽しみたい方のために昼や夜にレッスンをしていることも多くあります。
また、ポーズが決まっている分、初心者からだんだんと上達するという手順を踏んでいくことが可能です。
それに次いで、呼吸とポーズの連動から有酸素運動となり、レベルが上がるごとに筋力が増すという、「学びたい」「体つくりもしたい」という、欲張りの方にはうってつけでしょう。
ヴィンヤサヨガはヨガで体も心もすっきりしたい人におすすめ
ヴィンヤサヨガは、まさにアシュタンガをもとにした運動量の多いヨガです。
ヨガに触れながら、ヨガをPOPに楽しみたい、おしゃれにヨガをしたい、ヨガで脂肪燃焼がしたいという方にはとてもおススメです。
そこからアシュタンガヨガのような本格ヨガにいずれ興味を持つこともあるかもしれません。
まとめ:知れば知るほど深まるヨガ
アシュタンガヨガとヴィンヤサヨガだけで、たくさんの共通点や違いがあります。
知れば知るだけ、ヨガの奥深さがまたさらに増しますね。
ヨガの流派は、まだまだ数えきれないほどたくさんあります。
チャレンジを重ねて、いろんなヨガを楽しみましょう。