リラックス効果が高く、その心地よさから寝てしまうこともあるといわれるリストラティブヨガ。
アイアンガーヨガから派生し、無理をせず安全にポーズをキープすることで心身をしっかり休めることが重視されています。
この記事では、リストラティブヨガの歴史から特徴、効果や注意点とともに代表的なポーズを解説します。
リストラティブヨガで心身のリラックスを得て、ゆったりとした時間を過ごしましょう。
Contents
リストラティブヨガとは?
リストラティブヨガはセラピー要素が強く、リラックス効果が高いヨガです。
ここでは、リストラティブヨガの歴史や特徴をみていきましょう。
リストラティブヨガの歴史
リストラティブヨガは、1990年代にアメリカの理学療法士ジュディス・ラサター氏によって考案されました。
ラサター氏はアイアンガーヨガの正式認定指導師であったため、リストラティブヨガにはアイアンガーヨガから派生したポーズがいくつかあります。
また、リストラティブヨガには体の不調を回復するためのポーズが多く、セラピー効果が高いため、医療分野でも取り入れられてきました。
特にアメリカでは、2001年に起きたアメリカ同時多発テロの影響で心身に不調を抱える人が増え、リストラティブヨガがセラピーとして人気を集めたという背景があります。
解剖学的な観点も重視し、無理せず楽にポーズをとれるようリラックスを目的として行われるリストラティブヨガ。日本でも今後、医療分野においての発展も期待されています。
リストラティブヨガの特徴
リストラティブ(restorative)とは、英語で回復や休息を意味します。
心身を休め、回復させることを目的とし、動きは少ないのが特徴です。
体に負荷をかけずに行うことができるため、妊婦さんやシニア世代の方にもおすすめ。
体の硬い方や筋力に自信のない方でも気軽に始められるのもうれしいポイントです。
リストラティブヨガの大きな特徴は、補助道具である「プロップス」を使って行うこと。
プロップスに力を抜いたまま身体をゆだね、リラックスした状態でポーズをキープします。
リストラティブヨガでは、ポーズのキープ時間が15〜20分ほどと長いのも特徴。プロップスを使用して体を安定させることで、ポーズを長く保つことが容易になります。
リストラティブヨガで使用される代表的なプロップスは以下です。
円柱、または長方形の形をしたヨガ用の長い枕です。
柔らかく、体を支えるのに役立ちます。自宅で行う場合は、座布団をまるめてボルスター代わりとして使用してもよいでしょう。
折りたたんで体の下に敷くことで、体への負担を和らげられます。
また、お休みのポーズとも呼ばれるシャバーサナの際には、よりリラックスをするためにブランケットを体にかけて行う人も多くいます。
ヨガストラップは、手足を支えるときに重宝します。
体に負荷がかかることなくポーズの安定が得られます。自宅で行う場合は、タオルなどでも代用が可能です。
スタジオによっては、他にもアイピローやサンドバッグなど様々なアイテムを使用します。
初めてリストラティブヨガを行う方で、プロップスの正しい使い方を学びたい方や、さまざまなプロップスを使用してみたい方はプロップスの充実したスタジオを選びましょう。
自宅で行う際にプロップスが充実していなくても、壁や椅子を効果的に使うことで身体を支え、負担を減らせます。
リストラティブヨガの効果と注意点
常に心地良さが最優先されるリストラティブヨガ。
ここでは、リストラティブヨガならではの注意点や、代表的なリラックス効果以外に期待できる効果を解説していきます。
リストラティブヨガの効果
リラックス効果が高く、セラピー療法として医療にも取り入れられるリストラティブヨガ。
慢性的なストレスや、精神の不調の回復に高い効果が期待できます。
リストラティブヨガでは、ポーズを長い時間保持しながらゆっくりと呼吸を行っていくため、精神を深く安定させ、自律神経を整えられるのがポイント。
自律神経が整うと、ストレスの解消や安眠につながります。
また、動きの少ないヨガですが、血流の促進や姿勢、ゆがみの改善など身体へのうれしい効果が期待できるのも特徴です。
リストラティブヨガでは、プロップスを使って身体を無理ない状態で正しくポーズをとっていくため、背骨や内臓に適度な圧迫や解放感を与えられ、血行促進につながります。
さらには、伸びや圧迫、ねじりといったポーズで全身を伸ばしていくため、関節の歪みの改善や姿勢改善、全身の疲労回復に効果が期待できます。
特に寝るまえにリストラティブヨガを行うのがおすすめです。
リストラティブヨガの注意点
リストラティブヨガは心身を深く休め、積極的にリラックスすることを目的としたヨガのため、無理をしないことが重要です。
スタジオやオンラインレッスンでは、インストラクターの誘導に従い行えば問題ありませんが、自宅で行う際には自身で気をつけなければなりません。
無理をして間違ったアライメントをとって、体の違和感や痛みを感じたまま長時間ポーズをキープすると怪我につながる可能性もあります。
不安がある方は、スタジオやオンラインレッスンなどプロのインストラクターの指導のもと行うと安心です。
また、自宅でリストラティブヨガをする方は、10mm以上の厚みのあるヨガマットを使用するのがおすすめです。
ヨガ中に硬い床に身体を押し付けたり、手が滑ってしまったりといったことが防げます。特に妊婦さんやシニアの方は注意していきましょう。
リストラティブヨガの代表的なポーズ
リストラティブヨガで行われる代表的なポーズを3つ紹介します。
シャバーサナ
別名「屍のポーズ」「休息のポーズ」などと呼ばれ、心身を完全なリラックスへと導くポーズ。
仰向けになって、インストラクターの誘導のもと、クラスの最後に行われるのが基本です。
リストラティブヨガでは、プロップスを使い、より体の緊張を取り除いたリラックス状態で行っていきます。
- 仰向けになります(両膝の下にボルスターを置いたり、頭の下にバスタオルやブランケット、ヨガブロックを置くのもおすすめ)
- 両足を肩幅に開きましょう
- 脇の下に軽く空間を開けるようにし、手のひらは上に向けます
- 目を閉じて自然な深い呼吸を行いましょう
- そのまま5〜15分ほど深い呼吸とともに、体が床に沈んでいく感覚を持ちます
- 首や手足を左右に揺らしたり伸びをしたりして身体に感覚を戻します
- 左右どちらでも構わないので、身体を横向きにしてキープ
- 手で体を支えながらゆっくりと起き上がります
ヴィパリタカラニ
壁に足をたてかけるポーズです。
足の血流が促進され、老廃物が流れることで、むくみをとる効果が期待できます。
一日足をよく使った日や長時間同じ姿勢で座ったあとにおすすめです。
ハムストリングスの筋肉が硬く、痛みを感じる方は、壁と体の間にボルスターを置いて傾斜をつけるとよいでしょう。
- 壁から少し離した場所にボルスターを横向きに置きます
- 壁に向かってボルスターの上に座った状態から、上体を後ろに倒し、足を壁に立てかけます
- 肩と両手はマットにつけます
- 5~20分ほどポーズをキープします
- 深い呼吸は忘れずに行い、どんどんと力を抜いていくイメージを持ちます
- ゆっくりと足をおろし、身体を横向きにします
- 手で体を支えながらゆっくりと起き上がります
スプタバタコナサナ
黄金の子宮のポーズとも呼ばれ、骨盤内の血行をよくするポーズです。
股関節を程よく外側に開くことで胸が開くため、呼吸が深くでき、リラックス効果が高く期待できます。
腰に痛みのある方や、股関節が硬い方は足を前方に伸ばして膝下に丸めたブランケットを入れたり、膝を曲げて行うのがおすすめです。
または、膝を左右に開いて、丸めたブランケットを左右の膝の下に置いても良いでしょう。
- お尻は床に付けたまま、左右の足の裏同士を合わせ、膝を左右外側に開く
- 両腕は軽く広げ、手のひらは上を向けます
- 深い呼吸を繰り返しながら5~20分ほどポーズをキープします
- 起き上がる時は、一度横向きになり、手で体を支えながら起き上がります
まとめ
今回はリラックス効果の高いリストラティブヨガを解説しました。
動きが少なく、簡単なポーズが多いリストラティブヨガですが、初めて取り組む方は特に、高いリラックス効果を感じていくためにスタジオやオンラインレッスンを受けてみるのがおすすめです。
ぜひみなさんもリストラティブヨガで心身の心地よさを実感してみてください。