第20回「六根」

第20回「六根」
*English follows Japanese*

みなさまごきげんいかがですか?
ピラティス指導者のGingerです。

早いもので11月ですが、旧暦の上では神無月。出雲では神在月。神在月の出雲では人の様々な縁結びについて神様たちがご相談をなさいます。仕事や学習、恋愛などのご縁。一つの出会いは時として何かが大きく変わるきっかけとなりますが、『変わること』そのものを目標にして他人の軸や価値観に翻弄され、迷走している人を指導の現場でよく見かけます。また大抵の場合において、変わりたいと願いつつも創造の前の破壊を恐れ、維持に安住するものです。憧れや目標を持つことは原動力となりますが、目標は通過点もしくは分岐点です。与えられた変化の機会を活かし、その先の成長を遂げたいものです。その為には信念を持つことは必要不可欠です。そして信念を持つ為には自分自身を知ることが土台となります。自分の心を知ることは難しいので、私はピラティスでまずは自分の身体を知ることをお勧めします。

今回のタイトルの六根とは眼、耳、鼻、舌、身、意です。五感と表現した方がピンとくるやもしれませんね。アーユルヴェーダでは五つの感覚器官のことをインドリヤと呼びます。これらの誤用は病気の原因のうちの一つです。(コラム第1回参照)
道具や手段でしかないはずのモノ(身体や心もそうです)や理論にとらわれて信念を見失うことのないように、私たちは六根を研ぎ澄ませていく必要があります。我々は身体でも心でもなく、純粋な「存在」そのものです。ヒンドゥー哲学におけるアートマン、神道における六根清浄(コラム第16回参照)、これらは私たちがすでに満たされた、あるがままで完璧な存在で、五感と意識全てが本来清らかであると教えます。ピラティス風に言うならば、心身の軸がぶれない状態、でしょうか。六根が常に清らかであることは素直であることとも言えましょう。
image5 私は心身がちぐはぐな感じの時、自信を持って行動ができません。眠い時やお腹が空いた時、ひどく疲れている時に五感を使って繊細に何かを感じることは簡単ではありません。
ピラティスムーヴメントや呼吸法の正しい継続によって、無駄な力みが取れて必要な機能は向上します。身体の中心軸を捉える感覚を鍛えることで、骨や内臓の位置が正常になり、呼吸がより深くなり、自律神経やホルモン分泌が安定し、代謝が向上します。 心身が楽になることによって日常生活の質が上がれば、他人が決めた指標によって無用に傷ついたり、心の健やかさ、魂の賢さをないがしろにしなくなるのではないでしょうか。心身の軸を安定させることは、自信につながり、可視化や数値化のできない変化を自覚する助けとなります。

現代社会は情報伝達速度が上がりましたが、自分の六根で判断することをおろそかにしがちです。1965年に出版されたレイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』という作品に私はとても共感します。中学生の頃にいつも鞄に入れて御守りのように持ち歩いていました。この先も永く読み継がれる作品でしょう。
私はよく自らを戒めるのですが、現代に生きる私たちは頭ばかり先回りをし、心を使うことをないがしろにてしまいます。小賢しいことを続けていると心身が不調和となり、その人が本来持っている能力を十分に発揮できないまま他人の価値観で生きてしまいます。
AYUSH(インドの伝統医学担当省)の定める2018年のアーユルヴェーダの日は11月5日でした。『スシュルタ・サンヒター総論編』における健康の定義(15:48)は身体と心と意識が美しい和音を奏でることであり、人生の質を重要視しています。(コラム第7回参照)
アーユルヴェーダの生まれた5000年も前から現代に至るまで、人は心と身体の不一致により病気になってきました。私たちがみんなピラティスやアーユルヴェーダを通じて心身一如で世界とつながる感覚を取り戻し、この世界から与えられる縁の数々を享受して、より美しく呼吸をしてゆけますように。
ではまた次回。



I hope you've been enjoying autumn.
It's Ginger.

Since after Rittou, the first day of winter, the air has been crisp and makes my heart jolly. The Moon viewing day of September was raining. But in October, I could enjoy the Moon viewing and also Jyūsanya, the 13th moon, before full moon.
It's November already but according to the Japanese lunar calendar, it's the tenth month and it's called Kannazuki, the month deities are out. But in Izumo, it's called Kamiarizuki, the month deities are in. While the deities are visiting Izumo, they discuss our en, a relation, and enmusubi, to tie a knot with a good work, learnings for life and of course a partner, a match-making. One relationship sometimes change something dramatically, however, I see many students and studio members who set "change" itself the purpose and keep being tossed about by other people's senses of values, and can't figure out what they need to do by themselves. Interestingly enough, most of this type of people are scared of "demolition" process before "creation" and peacefully keep themselves in the state of "maintenance". To have an aspiration or an aim can be our motive force, but the aim is only a waypoint or a shunt. By making the most of given chances, we'd like to grow up as individuals. To start the journey, having a faith is vital. And the faith can be found when we know ourselves. However, to know ourselves is not so easy, so I recommend people to know our bodies first through Pilates.
image1 The title of this month's column 六根, Rokkon (Roku = six + Kon = roots) , means six sense organs which are eyes, ears, nose, tongue, body, and mind. Five senses might be easier to understand. In Ayurveda, five senses are called indriya. Using the indriya in wrong ways make us sick. ( cf. columm No.1 *Japanese text only)
To try not to lose our faiths by being constrained by things, even our bodies and minds, and theories which are mare tools and purposes, we should keep our Rokkon well-honed. "You" are not your body or mind but pure being. Ātman in Hindu philosophy, and the idea of Rokkon Shyoujyou in Shitoism ( cf. columm No.16 *Japanese text only) , those philosophies are teaching us that we are perfect as we are and our five senses and minds are primarily pure. Say this in a Pilates way, our cores of bodies and minds are stable. Keeping our Rokkon pure can also be said we are accepting.

When I'm feeling my body and mind are not one, I can't perform with confident. When I’m too sleepy, starving myself, or exhausted, it is not easy to sense something through my five senses.
By continuing Pilates movements and breathing method correctly, my unnecessary tensions are removed and necessary functions are improved. By training my sense of core, positions of bones and internal organs are fixed, breathing becomes deeper, autonomic nerves and hormone secretions become stable, and my metabolism is increased. Keeping both body and mind relaxed improves our qualities of lives. Thus I assume that we won't unnecessarily get hurt by other people's measures or neglect health of our own minds and wiseness of our souls. To stabilise the core of our bodies and minds gives us a confidence and that makes us aware of our changes which we can't visualise or quantify.
image3 In the modern world, information exchange speed has been accelerated but our own Rokkon have become less active to make decisions. I sympathise with The Sense of Wonder by Rachel Carson published in 1965. When I was a junior high school student, I used to put the book in my school bag like a talisman and carry it around with me. I believe the book will be read by many people forever.
I often warn myself against using too much of my head and less on heart. Keeping such crafty scheme brings some discord between body and mind, and prevent us from making the most of individual abilities and make us live on other people's sense of values.
This year's Ayurveda Day set by the Ministry of AYUSH was 5th of November. A definition of Heath by The Sushruta Samhita (15:48) is the harmony of Body, Mind, and Spirit and it places importance on Quality of Life. ( cf. columm No.7 *Japanese text only)
Since around 5000 years ago, the beginning of the history of Ayurveda, till now, we've become sick by discordance of body and mind. I'm wishing that all of us are going to be able to retrieve the sense of oneness through Pilates and Ayurveda, and enjoy various en given from heaven and earth to make our breath even more beautiful.
Farewell till next time.




ワークショップ シリーズ
『たかめていく氣と血のめぐり ~ピラティスとアーユルヴェーダができること~』
全4回 + 特別講座

Ginger-t-ws
女性は毎月の月経を通じて自らの血と氣のめぐりの状態を知ることができます。
さらに妊娠、出産により血のコンディションは変わるため養生の方法も変わります。
貴女は今、自分のライフステージに合った心と身体の養生ができていると言えますか?
全四回のワークショップを通じて、ピラティスとアーユルヴェーダの智慧を生活に取り入れ、日々をより健やかに過ごせる術を学びましょう。

昨年秋に初開催となったこのワークショップシリーズは第2サイクル目となります。
テーマは同じですが今回はアーユルヴェーダの智慧、哲学によりフォーカスを絞った講義となります。
アーユルヴェーダ式四季の過ごし方とピラティスムーヴメントを1年間を通して学ぶことで、自らの血と氣のめぐりを良くすることや季節ごとに身体や心の調和を取る方法を、自らの生活への意識を変えることで継続してきましょう。

また、Ayami先生とのコラボレーションによる特別講座では実際に食養生を学びます。アーユルヴェーダ式のお料理方法を日本の食卓に上手に取り入れて、日々美味しく楽しく心身を整えましょう。

シリーズでお届け致しますので連続受講をお勧めいたします。ただし、単発受講ではついていけない部分があることはご理解いただいた上、お好きな受講スタイルでご参加下さいね。
もちろんこのようなワークショップに参加することが恥ずかしいと感じる方や、「もう関係ない」と思い込んでおられる女性にも多くおられると思いますが、是非多くの女性、また男性に知っていただきたい内容をお届けいたします。そのため娘さんをお持ちのシングルファザーや、ご家族のために知識として学びたい男性も受講を歓迎しております。母娘、父娘、ご夫婦での受講、再受講も大歓迎です。

第一回 秋編<終了しました>
日  程2018年9月9日(日)
時  間14:30〜17:30
本町スタジオ
テーマ:血
血のめぐりと質を高めるアーユルヴェーダとピラティス
→詳しくはこちら
特別講座 冬編<終了しました>
日  程2018年11月4日(日)
時  間10:30〜13:30 / 15:30〜18:30
大阪 刻屋
特別講座 冬編 テーマ:生命力
女性力を高めるアーユルヴェーダ式食養生とピラティス
AyamiとGinger
→詳しくはこちら
第二回 春編日  程2018年12月23日(日)
時  間14:30〜17:30
本町スタジオ
テーマ:膣粘膜
粘膜を強化して女性力を高めていくアーユルヴェーダとピラティス
→詳しくはこちら
特別講座 春分編日  程2019年2月17日(日)
時  間14:30〜17:30
大阪スタジオ
特別講座 春分編 テーマ:睡眠
睡眠の力を知る アーユルヴェーダとピラティス
→詳しくはこちら
特別講座 梅雨編日  程2019年4月29日(月・祝)
時  間10:30〜13:30 / 15:30〜18:30
大阪 刻屋
特別講座 梅雨編 テーマ:冷え
女性力を高めるアーユルヴェーダ式食養生とピラティス
AyamiとGinger
→詳しくはこちら
第三回 梅雨編日  程2019年5月12日(日)
時  間14:30〜17:30
本町スタジオ
テーマ:女性ホルモン
ホルモンを安定させる冷え取りアーユルヴェーダとピラティス
→詳しくはこちら
第四回 夏編日  程2018年6月9日(日)
時  間14:30〜17:30
本町スタジオ
テーマ:膣ケア
女性器のケアと向き合う アーユルヴェーダとピラティス
→詳しくはこちら



profile
PROFILE : Ginger(じんじゃ~)

  • フリーランス アーティスト
  • FTPマットピラティス 指導者
  • からだスキャン セルフマッサージ 指導者
  • Physical Mind Institute 認定 Tye4® Mat/Standing 指導者
  • Body Code System認定 Master Stretch® 指導者
  • アーユルヴェーダ セルフケアアドヴァイザー
  • 漢方・薬膳検定 保有
  • 英国にて衣装デザインと制作を学び、デザイナーとして様々な身体表現者たちと関わる。また6年近くに及ぶ異国生活で心身の不一致を感じ、そのコントロールへの興味を深める。
    帰国後、ピラティスに出会い指導者としてのトレーニングを受ける。
    アーユルヴェーダや東洋医学、薬膳の考え方を取り入れ、グループ・個人レッスン共に男女問わず幅広い年齢層を指導。 
    個々人自らが『感じる力』を磨くことを何よりも重要視している。
    英語でのレッスンや海外講師の通訳、人体経絡図の挿絵など、ピラティスと英語・アートをリンクさせた活動も積極的に展開している。
    近年はピラティスという分野を超えて、自然の中で呼吸や五感のワークを行うことも始めている。
    Instagram: @ginger_jinjya
    HP: http://junkoginger.blogspot.jp