第19回「観月」

第19回「観月」
*English follows Japanese*

みなさまごきげんいかがですか?
ピラティス指導者のGingerです。

早朝の空気が冷たくなり始めましたね。秋分を過ぎ、お月見を楽しんでからは雨の多い日々でしたが、雨が空気のよどみを流し、水晶のように透明に冷やしてくれているような気がします。澄んだ空に浮かぶ月の美しさは、秋の色彩によく映えます。9月中は宵の明星とも呼ばれる金星を楽しむ方も多いことでしょう。

満月も素敵ですが、私が好きなのは二日月、真夜中にのぼる下弦の月そして十六夜。日本には古来から月読命という神様がおられます。夜の世界、月の満ち欠けを支配し、つまり暦を読むことができる神様。そのため農耕や漁猟の神ともされています。神嘗祭では天照大御神(太陽の象徴)に五穀豊穣の感謝を捧げますね。月読命は天照大御神と対をなす神様です。
古今東西、月の神は男神と女神に分かれますが、月読命は男性性と女性性の両方を兼ねそろえた神と言われています。ギリシア神話のアルテミス、ローマ神話のディアーナ、いずれも女神ですが弓の使い手であり、男勝りな一面や死との関連も持つ女神として描かれていることは興味深いですね。月の神の象徴する陰陽バランスは私たちが自ら気づいていない、内に秘めた力に光を当ててくれるとも言います。

内なる力、と書くとなんだか神秘的ですが私たちはみんなそれぞれ生まれ持った性質が違います。先月開催された私のアーユルヴェーダのワークショップでは体質理論に基づいたご自身のドーシャバランスの分析を行っていただきましたが、感想文の多くが『自分のことって、わかっているようで全然わかっていなかった!』というものでした。 image7 自分のことを客観視する機会はなかなか得られないものですから、当然とも言えます。そして他人からの助言が、自らが目を背けてきた核心をつくものである場合は無自覚に耳を防いだり素直に受け取れなかったりするものです。同様に灯台下暗しで、自分の良いところは見えないままだったりします。自分がどのような存在であるかを適切に把握できている人は稀と言えます。

ピラティスのお稽古もまさにそうであると私は思います。
先生の指示通りに身体を動かしているつもりでも、大なり小なり先生によって動きの修正が掛かかります。例えば何かの型や動きを一度見ただけでほぼ完璧に再現できる人がいます。そんな稀有な人は自分の身体を道具として自在にコントロールし、目で見た記憶で身体に明確に指令を与えて動かせているのです。また、思い込みで動かないという心の素直さも兼ねそろえています。
勿論誰しも心身共に『積年の癖』はあります。言われた通りに動きたくても動けない!という方がほとんどでしょう。身体が動かない原因の一つは日々の養生やメンテナンス不足。また、もう一つの原因は道具をよく知らないことには使えない、ということです。
私はピラティスのレッスンの始めに主要な骨や筋肉をクライアントさんご自身の手で触ってもらうことをよく行います。『仙骨』『坐骨』などは聞いたことがあっても場所はなんとなくしかわからない人がほとんどです。特に坐骨は、腸骨や仙腸関節あたりを触る人もいれば、腰を触る人もおられます。呼吸と身体の動きに集中してもらう前に、『使う道具(身体)』の確認と認識の共有は絶対に必要なのです。
ピラティスのレッスンを通じて、クライアントさんは少しずつ自分の身体の設計図面と操作手順を把握し始めます。そしてより効率的かつ省エネな操作方法を覚えていく過程で不要なもの(脂肪や筋肉の強張り、力みや癖など)を排除し、必要なもの(酸素、水、栄養素、ポジティブな言葉や表情…きりがありません)を取り入れ始めます。

恵まれた環境でピラティスやヨガをできる私たちは幸運です。せっかくのチャンスですから是非ご自身の心身を整えることによって生まれる幸福を、周りの人々の幸福に繋げて下さいね。
それこそがピラティス、アーユルヴェーダの目的でもありますから。
image9 9月のお月見は曇り空の大阪でしたから、10月21日の十三夜様が晴れることを祈りましょう。
栗や豆を食べてお月見を楽しむのも良いですが、月光の下、孤り静かに座り瞑想や呼吸を楽しんでみてはいかがでしょうか。
満ち欠けする月と同じように、私たちの心身もまた形を変えるものですから。
それではまた次回。



Hello everyone, it's Ginger.

Early morning air has been getting chilly these days. Since after autumnal equinox and the full moon of September, we have been having many rainy days in Japan. However I feel that each rain has washed off murky air and make the whole air around us clear and cool like crystal. The beauty of the moon on the clear night sky creates a stunning contract with the colours of autumn. Many of you might enjoy finding Venus, the evening star, during September.

I like full moon but I love the second night moon, the last quarter which rises up in the sky around midnight, and Izayoi, the sixteenth night moon. From ancient time in Japan, we have TSUKUYOMI. The deity rules night world and moon cycle, thus means TSUKUYOMI can reads calendar. That makes TSUKUYOMI the god of agriculture and fishery. At Kannamesai, an Imperial festival in autumn, we show our gratefulness to AMATERASU by offering the year's new rice harvest to her. TSUKUYOMI acts as an opposite to AMATERASU, the sun god who rules over the Plain of High Heaven.
Trough all time and places, the personification of the moon god is either male or female, however, TSUKUYOMI is said that he has both natures, a sort of androgynous. Artemis, a Greek goddess of moon, and Diāna, also a Roman goddess of moon are both female but interestingly enough, they are the masters of archery and there are some episodes to describe their mannish natures and their relations to death and the underworld. The ying and yang balance of the moon god casts his or her light on your unrecognised ability which you’ve already have inside of yourself.

“Inner ability” may sounds mysterious but we all have characteristic natures. At my Ayurveda workshop of last month, I asked my students to analyse their dosha balances. Most of their comments were that they thought they knew who they were but they didn't.
It is rare to have objective evaluation on yourselves, so it's quite natural to feel that you don't know yourself at all. Also when the advices from others’ perspectives are very precise and get to the point which you've been keep avoiding to look at, you tend to cover up your ears and can't accept the facts meekly. Likewise, it's hard to see what's under your nose, you tend not to know your own strength, So only few people can acknowledge who they are and what they are like without any bias. image6 For me, Pilates lesson is the process of knowing myself.
No matter how hard I try to move my bones and muscles to my teacher’s cuing, my movements are corrected by the teacher more or less. Some people can duplicate movements or choreography by one look of it. Those rare beings can control or maneuver their own bodies as tools. They can realise the movements by giving themselves correct cues based on the memories. Also those people have tractability, being free from assumptions.
Of corse most of us have built up habits in both our minds and bodies. So even if our minds really want to move our bodies to follow the teacher’s cue, most of the time our bodies can't coordinate with minds. One of the reasons of this is that the lack of balanced diet and physical maintenance. And another reason is that we can't move the tools if we don't know them properly.
I often begin my Pilates lesson by asking my clients to touch their major bones and muscles by their own hands. Most of them have heard of the sacrum or the ischial tuberosity (the sitz bone), but not quite sure where those bones are located. Especially when I ask them to touch their sitting bones, some touch around iliac bones, or SI joint (sacroiliac joint), and others touch around lower back or lumbosacral joint. It is essential to recognise their “tools” correctly before they start concentrating on their breathings and physical movements.
Through Pilates movements, the clients start to understand their own design drawings and operating procedures little by little. And also they start to get rid of unnecessary things such as fat, muscle stiffness, strain of body and habits. And they start to take in what they need. Such as air, water, nutritions, positive words and facial expressions…. (countless!) to use their bodies more efficiency and economically.
image5 We are lucky to be able to practice and learn Pilates and Yoga in the comfortable environment.
So please make the most of this chance to receive happiness by keeping up your healthy body and mind.
Then pay it forward. That's one of the purposes of Pilates and Ayurveda.

September full moon was cloudy in Osaka, so let's pray for clear sky on the 21st of October to celebrate Jyūsanya, thirteenth moon.
It’ll be nice to enjoy Otsukimi, moon viewing, but also I suggest to sit down on your own quietly under the moon light to enjoy holding discussion with yourself or breathings. Because our bodies and minds are the same as the moon which keep changing its shapes and sizes...
Farewell till next time.




ワークショップ シリーズ
『たかめていく氣と血のめぐり ~ピラティスとアーユルヴェーダができること~』
全4回 + 特別講座

Ginger-t-ws
女性は毎月の月経を通じて自らの血と氣のめぐりの状態を知ることができます。
さらに妊娠、出産により血のコンディションは変わるため養生の方法も変わります。
貴女は今、自分のライフステージに合った心と身体の養生ができていると言えますか?
全四回のワークショップを通じて、ピラティスとアーユルヴェーダの智慧を生活に取り入れ、日々をより健やかに過ごせる術を学びましょう。

昨年秋に初開催となったこのワークショップシリーズは第2サイクル目となります。
テーマは同じですが今回はアーユルヴェーダの智慧、哲学によりフォーカスを絞った講義となります。
アーユルヴェーダ式四季の過ごし方とピラティスムーヴメントを1年間を通して学ぶことで、自らの血と氣のめぐりを良くすることや季節ごとに身体や心の調和を取る方法を、自らの生活への意識を変えることで継続してきましょう。

また、Ayami先生とのコラボレーションによる特別講座では実際に食養生を学びます。アーユルヴェーダ式のお料理方法を日本の食卓に上手に取り入れて、日々美味しく楽しく心身を整えましょう。

シリーズでお届け致しますので連続受講をお勧めいたします。ただし、単発受講ではついていけない部分があることはご理解いただいた上、お好きな受講スタイルでご参加下さいね。
もちろんこのようなワークショップに参加することが恥ずかしいと感じる方や、「もう関係ない」と思い込んでおられる女性にも多くおられると思いますが、是非多くの女性、また男性に知っていただきたい内容をお届けいたします。そのため娘さんをお持ちのシングルファザーや、ご家族のために知識として学びたい男性も受講を歓迎しております。母娘、父娘、ご夫婦での受講、再受講も大歓迎です。

第一回 秋編<終了しました>
日  程2018年9月9日(日)
時  間14:30〜17:30
本町スタジオ
テーマ:血
血のめぐりと質を高めるアーユルヴェーダとピラティス
→詳しくはこちら
特別講座 冬編日  程2018年11月4日(日)
時  間10:30〜13:30 / 15:30〜18:30
大阪 刻屋
特別講座 冬編 テーマ:生命力
女性力を高めるアーユルヴェーダ式食養生とピラティス
AyamiとGinger
→詳しくはこちら
第二回 春編日  程2018年12月23日(日)
時  間14:30〜17:30
本町スタジオ
テーマ:膣粘膜
粘膜を強化して女性力を高めていくアーユルヴェーダとピラティス
→詳しくはこちら
特別講座 春分編日  程2019年2月17日(日)
時  間14:30〜17:30
大阪スタジオ
特別講座 春分編 テーマ:睡眠
睡眠の力を知る アーユルヴェーダとピラティス
→詳しくはこちら
特別講座 梅雨編日  程2019年4月29日(月・祝)
時  間10:30〜13:30 / 15:30〜18:30
大阪 刻屋
特別講座 梅雨編 テーマ:冷え
女性力を高めるアーユルヴェーダ式食養生とピラティス
AyamiとGinger
→詳しくはこちら
第三回 梅雨編日  程2019年5月12日(日)
時  間14:30〜17:30
本町スタジオ
テーマ:女性ホルモン
ホルモンを安定させる冷え取りアーユルヴェーダとピラティス
→詳しくはこちら
第四回 夏編日  程2018年6月9日(日)
時  間14:30〜17:30
本町スタジオ
テーマ:膣ケア
女性器のケアと向き合う アーユルヴェーダとピラティス
→詳しくはこちら



profile
PROFILE : Ginger(じんじゃ~)

  • フリーランス アーティスト
  • FTPマットピラティス 指導者
  • からだスキャン セルフマッサージ 指導者
  • Physical Mind Institute 認定 Tye4® Mat/Standing 指導者
  • Body Code System認定 Master Stretch® 指導者
  • アーユルヴェーダ セルフケアアドヴァイザー
  • 漢方・薬膳検定 保有
  • 英国にて衣装デザインと制作を学び、デザイナーとして様々な身体表現者たちと関わる。また6年近くに及ぶ異国生活で心身の不一致を感じ、そのコントロールへの興味を深める。
    帰国後、ピラティスに出会い指導者としてのトレーニングを受ける。
    アーユルヴェーダや東洋医学、薬膳の考え方を取り入れ、グループ・個人レッスン共に男女問わず幅広い年齢層を指導。 
    個々人自らが『感じる力』を磨くことを何よりも重要視している。
    英語でのレッスンや海外講師の通訳、人体経絡図の挿絵など、ピラティスと英語・アートをリンクさせた活動も積極的に展開している。
    近年はピラティスという分野を超えて、自然の中で呼吸や五感のワークを行うことも始めている。
    Instagram: @ginger_jinjya
    HP: http://junkoginger.blogspot.jp