第15回「知行」

第15回「知行」
みなさまごきげんいかがですか?
ピラティス指導者のGingerです。

この原稿を書いている今日は芒種です。穂を持つ植物の種まきをする時候を指す日。表では雨音が奏でられています。梅雨が始まりましたね。
新月の今日は植物のライフサイクルでは種や発芽の時期。新月から上弦までは直感力が研ぎ澄まされやすい時期ですから仕事や趣味なども新しいことを始めたり、決断をすることにも向いています。恵みの雨、芽吹きの季節は新月の闇も満月の光もみずみずしい生命力に満ちていて新鮮です。
太陽歴4月から5月の満月はお釈迦様の誕生の日、悟りを開いた日、そして入滅の日であったと言うVishakha月の第一満月で、この日は世界各地でウエサク祭が行われました。VishakhaがVisakに変化したものが日本語ではウエサク。京都の鞍馬寺では五月満月祭と呼ばれ、満月を待ちながら始まり、明け方まで見送る夜通しのお祭りです。鞍馬寺は私もとても好きな場所です。緑が深く豊かで、風が通り、水に潤された日本の国土の稀有さや生命力に感動します。

先月と今月、私が昨年秋から全4回の構成で講義をさせていただいているワークショップシリーズ『たかめていく氣と血のめぐり ~ピラティスとアーユルヴェーダができること~』の第3回梅雨編『ホルモンを安定させる冷え取りアーユルヴェーダとピラティス』と、その対となる特別講座 梅雨編『女性力を高めるアーユルヴェーダ式食養生とピラティス』が、無事に終了致しました。
冒頭でも触れましたが梅雨は日本が水に恵まれた国だということを体感できる美しい季節です。とは言え、晴れと雨降りの不安定さや暑さと湿度の濃度の濃さに体調を崩す方がとても多いことも事実です。今回敢えて2本立てで講義を組み立てたのはそのためです。
特別講座は、前回開催の冬編と同様にアーユルヴェーダ式食養生を日常に活用していただくため、食卓にスパイスの薬効を潜ませる具体的な方法を体験していただきました。
これまでも幾度となく書いてきましたが、情報を頭に入れただけでは耳学問に過ぎず、実践を伴ってこそ初めて自分の知識なります。
レシピ作成と調理のデモンストレーションを、冬編に引き続き私がスパイスとアートの魔法を届けることをコンセプトに活動を展開しているThe Three Flying WitchesのメンバーであるAyamiに協力をしてもらいました。
2ワークショップともたくさんの方々がご参加下さり感激致しました。ありがとうございます。この各ワークショップのレポートに関しましては私個人のブログやInstagramに掲載しております。コラム最後のリンクをご参照下さい。また、Instagramにて講義内で十分にお伝えしきれなかったことを随時更新しております。宜しければご覧下さい。
image8 今回の梅雨編2本の主題はアーユルヴェーダの智慧とピラティスに学ぶ梅雨の養生方法でした。
これまでの講義と同様、日本人にとってより馴染みやすい陰陽五行理論や氣血水の考えを補助に用い、アーユルヴェーダの3つの生命エネルギー、トリドーシャを整えるための方法、また女性特有の体調不良や不調の原因を知るための判断材料となる、女性のお尻の形、頭皮と舌の状態、おりものの話を致しました。
こういった話題はセンシティブなので、特に日本では抵抗のある方がほとんどでしょう。しかしこれは、来月7月の第4回夏編でお話しする女性器のケアにつながる大切な部分です。昨今は不妊に悩む夫婦が増えていますが、アーユルヴェーダは良い命を次の世代につなぐための医哲学でもあり、個人の幸福や健康が社会全体の幸福や健康につながるとしていますから、不妊問題は対岸の火事だと傍観できないことです。
講義内容に抵抗を感じる方々がいても致し方ないとは思っていたのですが、第2回春編での膣粘膜の講義の際と同様に参加者の皆様の視線が熱く、やはりこういったことは女性なら誰しも気になることなんだと確信しました。

ピラティスは正しく行えば骨盤底筋を鍛えることのできる素晴らしいメソッドですが、女性の骨盤底筋は体内にありますから生活全般における養生、ストレスケア、そしてやはり女性器のケアは必要となります。それゆえ私はピラティスムーヴメントだけで骨盤底筋を100%良い状態にすることは難しいと思います。アーユルヴェーダも同様で、ただ養生の部分だけを追っても足りないのです。 ピラティスにもアーユルヴェーダにも哲学の部分が存在します。ピラティスがbody mind spiritの三位一体を提唱していることにも顕著ですが、身体を整えるだけではなく、そこに心と魂を調和させていくべきだということなのです。これは私がピラティスとアーユルヴェーダに出会い、mindfulnessの実践を続けることで実感していることです。
女性の身体で生を与えられたからには、自分の身体の養生法を学ぶことは恥ずかしいことではなく、むしろ必要なことです。もちろん男性にも知っておいていただきたいことですので、講座は男性の受講を可とさせて頂いています。どうぞご理解いただければ幸いです。

養生は、たまに行うだけでは効き目がありません。日々の積み重ねが大切です。アーユルヴェーダの養生や治療は日常生活の急な変化をさせず、少しずつ切り替えていくことを勧めます。そして嫌々行わないこと、心の状態も重要視しています。自分にできそうなことを一つだけでもコツコツ続ける。そのうちに養生を楽しいと思えたのならば、そこに知識を少しずつ持つこと。そうすれば知恵を使うことができるようになります。
冬編でスパイスの使い方を学んだ方々が、日常に取り入れて下さっているご報告をよく受けますが、身体と心が少しずつ変わって来て下さっているようです。実践は大切ですね。
image5 ここまで、全4回のうち3回の講義が終わり、特別編は2回、初夏には三宮スタジオでもスピンオフ版ミニ講座もさせていただきましたが、一つの講義を終えるごとに私はピラティスとアーユルヴェーダの可能性を体感しています。
昨年このワークショップの企画段階で「女性の身体」とコンセプトをいただいた際に、私だからこそ伝えられることをと思いました。ピラティスやアーユルヴェーダに出会うまでは心身共に不調だらけで一度も自分の身体を好きになれなかった私が、もっと早く学びたかったと思っていたことを伝えよう、と。
『いい女』のための講座。
詭弁に惑わされずに自らその時々で最適の判断をできる人。力強くしなやかな生命力を育てる賢さを持つ人。精神的な自立と、健全なセルフエスティーム。笑顔と内から滲み出る輝き…それらを持つのが『いい女』。
私自身そうありたいですし、賢い女性が未来を創る子供達の生きる力を導き、育んで行くことができるはず。その一端を私も担うことができたら。そんな想いを込めて講義をさせていただいています。
ですから、私自身がその理想に恥じないようにと未熟なりに自分の身体と心と魂を調和させて、楽しんでアーユルヴェーダやピラティスを実践していることをお見せすることも講義の一環だと信じ、日々お稽古を重ねています。

このワークショップが始まって以来、これまでの講義やレッスンを通じてたくさんの女性たちの密かなる悩みや不安の告白を受けました。
女性特有の身体や心の悩み、過去の辛い経験、身体と心の不調和…。みなさまから頂いた感想文やメールを拝読しながら、私はいつも涙が溢れます。
もっと早くこんな知識を知りたかった、今はもう遅いけれど娘や嫁に伝えたい、これから自分に出来ることを続けたいというお声、そして講義で学んだ養生を続けることで身体や心に現れた変化のご報告、私やAyamiとの出会いに元気をもらえたという方々も多く、私は感激と感謝で胸がいっぱいになります。そしてアーユルヴェーダの哲学に感動せざるを得ません。
私は微力ながら、いつも心から皆様のしあわせを願っています。これからもより一層良いものをお届けできるように努めてまいります。
『与えられた環境で知恵を使い自分の感性を磨く。』
これは私が大切にしていることです。日常生活の全てに心を向ければ自分の生きる姿勢を磨くお稽古になります。楽しんで行えるのであらば、もっと素敵ですね。
image2 あらためまして梅雨編2ワークショップにご参加の皆様ありがとうございました。皆様の温かな笑顔とお言葉に励まされるばかりです。
尊敬するAyami、貴女とまた仕事をすることができて幸運でした。ありがとう。
ヨガヴィオラトリコロールのスタッフの皆様にも感謝です。

後少しすればもう夏至です。昼間の最も長くなる日は、梅雨の真っ只中。夏至を境に太陽のあたたかな陽氣は秋分に向けて次第に弱まり始めます。陰陽のリズムに身を委ね、日々の変化を慈しんで参りましょう。
自分にできることをコツコツと。
新月の今宵、皆様の新しい日々が少しずつ光で満ちていきますように。
ではまた次回。



ワークショップ シリーズ
全4回 + 特別講座 (単一講座受講化。セット割引有り)
1710-1807_ginger_o 私がピラティスやアーユルヴェーダの指導を行う中で出会った様々な年代の女性たち。
彼女たちの願いを集約すると、やはり健康で若々しくあり続けること。
女性は毎月の月経を通して自らの血と氣のめぐりの状態を知ることができます。
さらに妊娠、出産を通じて血のコンディションは変わり、養生の方法も変わります。
今回のワークショップでは私の持つピラティスの知識に加え、アーユルヴェーダや東洋医学、薬膳の智慧をお借りして女性の血と氣のめぐりの養生法を見直します。
日常生活に取り入れやすい季節ごとのセルフケアや食養生など、実践できることを中心にお伝えします。
シリーズでお届け致しますが、もちろんお好きな受講スタイルで大丈夫です。
なお男性のお客様、ご夫婦でのご参加も大歓迎です。

第一回 秋編日  程2017年10月1日(日)
時  間14:30~17:30(3時間)
本町スタジオ (終了しました)
血のめぐりと質を高める アーユルヴェーダとピラティス
特別講座 冬編日  程2018年1月28日(日)
時  間①10:30~13:30 ②15:30~18:30
大阪 刻屋 (終了しました)
特別講座 冬編 『女性力を高めるアーユルヴェーダ式食養生とピラティス』AyamiとGingerによる ピラティス&アーユルヴェーダ食養生
第二回 春編日  程2018年3月4日(日)
時  間14:30~17:30(3時間)
本町スタジオ(終了しました)
粘膜を強化して女性力を高めていくアーユルヴェーダとピラティス
ミニ講座 立夏編日  程2018年5月5日(土)
時  間13:45~15:15(90分)
神戸三宮スタジオ(終了しました)
睡眠の力を知る アーユルヴェーダとピラティス
第三回 梅雨編日  程2018年5月20日(日)
時  間14:30~17:30(3時間)
本町スタジオ(終了しました)
ホルモンを安定させる冷え取りアーユルヴェーダとピラティス
特別講座 梅雨編日  程2018年6月3日(日)
時  間①10:30~13:30 ②15:30~18:30
大阪 刻屋(終了しました)
特別講座 梅雨編 『女性力を高めるアーユルヴェーダ式食養生とピラティス』
第四回 夏編日  程2018年7月8日(日)
時  間14:30~17:30(3時間)
本町スタジオ (受付中)
女性器のケアと向き合う アーユルヴェーダとピラティス


profile
PROFILE : Ginger(じんじゃ~)

  • フリーランス アーティスト
  • FTPマットピラティス 指導者
  • からだスキャン セルフマッサージ 指導者
  • Physical Mind Institute 認定 Tye4® Mat/Standing 指導者
  • Body Code System認定 Master Stretch® 指導者
  • アーユルヴェーダ セルフケアアドヴァイザー
  • 漢方・薬膳検定 保有
  • 英国にて衣装デザインと制作を学び、デザイナーとして様々な身体表現者たちと関わる。また6年近くに及ぶ異国生活で心身の不一致を感じ、そのコントロールへの興味を深める。
    帰国後、ピラティスに出会い指導者としてのトレーニングを受ける。
    アーユルヴェーダや東洋医学、薬膳の考え方を取り入れ、グループ・個人レッスン共に男女問わず幅広い年齢層を指導。 
    個々人自らが『感じる力』を磨くことを何よりも重要視している。
    英語でのレッスンや海外講師の通訳、人体経絡図の挿絵など、ピラティスと英語・アートをリンクさせた活動も積極的に展開している。
    近年はピラティスという分野を超えて、自然の中で呼吸や五感のワークを行うことも始めている。
    Instagram: @ginger_jinjya
    HP: http://junkoginger.blogspot.jp